Amazon Bedrock Data Automationによる金融文書処理の実装
Amazon Bedrock Data Automation(BDA)が金融機関の文書処理ワークフローを変革している。従来のOCRソフトウェアでは対応困難だった多様な形式の金融文書から、高精度でデータ抽出を自動化する新しいアプローチが登場した。
BDAは単純なOCRを超えて、基盤モデルを活用した文書理解を提供する。視覚的根拠付けと信頼度スコアによる説明可能性、組み込まれた幻覚軽減機能を備えており、Anthropic Claudeのような基盤モデルと比較して業界最高水準の精度を低コストで実現している。
(出典: Process financial documents using Amazon Bedrock Data Automation)
ブループリント設定による抽出パターンのカスタマイズ
BDAの核心機能は、処理ニーズに応じて出力を設定できるブループリント機能にある。ブループリントは文書からデータを抽出する方法を定義する設定テンプレートで、以下の要素を指定する:
- 抽出対象のデータフィールド
- 各フィールドの処理方法
- 出力形式の構造
カタログブループリントまたはカスタム作成ブループリントを選択でき、組織固有の抽出パターンに対応できる。銀行明細書、W-2フォーム、1099-B税務フォーム、ベンダー契約書といった金融文書タイプごとにカスタムブループリントを作成し、BDAコンソールで出力を生成・検証する流れとなる。
通常、特定の文書タイプに対しては単一のカスタムブループリントで十分だが、ワークフロー要件が異なる場合や文書形式が大幅に変化する場合は、複数のカスタムブループリントが必要になる場合がある。
(出典: Process financial documents using Amazon Bedrock Data Automation)
Amazon Bedrock AgentCoreによるマルチエージェント環境の構築
Works Human Intelligence(WHI)とAWS Generative AI Innovation Center(GenAIIC)の協業事例では、Amazon Bedrock AgentCoreを使用したAIエージェント構築により、運用コストを最大97%削減しながら業務効率を向上させた。
WHIは統合人事システム「COMPANY」を開発・販売しており、通勤手当承認と業務代行の2つのAIエージェントを構築した。当初LangGraphとAmazon ECSを使用していたが、Amazon Bedrock AgentCoreのリリースに伴い移行を検討した。
新しいアーキテクチャでは、サブエージェントがAgentCore Runtime上で個別に起動される構成に変更された。マルチテナンシー対応のため、Amazon DynamoDBとAmazon Cognitoを使用してテナント管理を行い、WHIが構築・管理する柔軟性を維持している。Slackを通勤手当エージェントの入口として使用し、呼び出し時に認証を実行してから適切なサブエージェントがリクエストを処理する設計となっている。
(出典: Building AI agents for business support using Amazon Bedrock AgentCore)
まとめ
- Amazon Bedrock Data Automationのカスタムブループリント機能により、銀行明細書やW-2フォームなど組織固有の金融文書形式に対応した自動抽出システムを構築できる
- Amazon Bedrock AgentCoreのマルチエージェント環境を活用すれば、通勤手当承認のような定型業務を97%のコスト削減で自動化し、Slack連携による認証フローも実装可能になる
- BDAの視覚的根拠付けと信頼度スコア機能を組み合わせることで、従来のOCRでは困難だった複雑な文書レイアウトからの高精度データ抽出と説明可能性を両立できる